子育て支援事業
わんぱく教室(くるみっ子教室)について
・対象者
家庭で保育をしている親子(0歳〜就学前のお子様)
10:00~11:00
室内遊び・戸外遊び
11:00~11:30
絵本の読み聞かせ・手遊びやリズム体操
親子の触れ合い遊びなど
是非遊びに来て下さい
たくさんのご参加お待ちしています
実施日及び時間
1)毎週火曜日
2)午前10時〜午前11時30分頃
3)担当保育士 1名
子育てコラム 出典:「子どもへのまなざし」 児童精神科医 佐々木正美
9月 子どもが失敗した時が親の出番
子どもが小さいときは、まだ社会や世間のことが分からないのですから、親は子どもの失敗を受けとめてあげる必要があります。つまり子どもの不始末を、親が代わりに謝って、始末してあげることが大切なのです。なのに親が、自分が謝るのは嫌だから、子どもに不始末をさせないように、親の思い通りに育てようとか、がんと抑え込んでしまうのが、子どもをだめにしてしまうわけですね。子どもは地域社会や保育園、学校で、あれこれ失敗や不始末をしでかして、周囲の人に迷惑をかけます。そのつど、親や先生に注意はされても、それほどひどくは叱られないで、始末をしてもらいながら大きくなっていきます。育児のもっとも大切なところは、子どもが失敗したときに、親や家族が一番頼りになるのだというメッセージを、どう伝えることができるかということです。子どもが「学校こんな事をしてしまった。先生にこう言われてしまったから、一緒に謝りに行ってほしい。」というような事は、子どもを育てていればよくあることです。「ああ、行ってやるよ。そういう時のために、お父さんはいるのだから。」と、そういう時には、それだけを言ってあげるだけで良いのです。そういう風に、子どもが安心するように、ちゃんと親が失敗を取り繕ってやったからといって、子どもは安心してまた失敗を繰り返すなんて馬鹿な真似はしないものです。そんなことはないのです。極力やらないようにしますよ。親にあんなみじめな思いをさせてしまったということは、子どもにとってもこたえることです。親がカーッと怒ったりすれば、子どもも自分のやったことを棚に上げて、言い訳や言い逃れに終始するでしょう。そんなときこそ、「心配しなくて良いわ、お母さんが一緒に言ってあげるから安心して」と、言ってやりたいものです。子どもは、親のそういう対応を待っているのです。その時に、「もう二度とこんな事をするなよ」なんて言う必要はないのです。「どうしてそんなばかなことをしたんだ」とか、「どうして」なんて聞かれたって、子どもに答えられるものではないですよ。残酷な質問ですね。とくに男の子が育ちざかりの頃は、こういうことはしょっちゅうありますよね。そのたびに、私は、ふるいたってというのは大げさですが、ああ、これが親の出番なのだと思いました。謙虚さ、素直さ、それに責任といったものを、自分の心の中で吟味しながら、親らしいことをするというのはこういう時なのだと、自分に言い聞かせながら、いろんなところに出向きました。子どもと一緒に謝りにも行ってやりました。「お前も謝らなきゃだめだ、頭を下げて」なんてことは言わないでいてあげるのです。親が自分のプライドなどはすっかり捨てて、ただただ謝る姿を見せる。それだけで子どもは、十分に制裁を受けているのですから。そんなお詫びに行った帰り道のような時間もまた、たいせつですね。親子である事を強く感じる時間です。いま自分のすぐそばでしょげかえっているわが子のやってしまったことは、たいてい、自分も子どもの頃にやってきたことなのですね。だから、そのことを子どもに伝えてやれば良いのです。だんだん大きくなるにつれて、そういうことはしないでいられるように、がまんできるようになれば、それでいいのだと。子どもが親を信じられるようになるのは、子どもがもっとも困っている場面で、救いの手を差し伸べてあげることだと思いますから。
10月 反抗期はつぎの成長を準備するとき
子どもは自分を確立していくために、たえず依存と反抗を繰り返します。子育てのやっかいさは、親に依存してきながら、それでいて反抗もしてくることです。ですから、親は子どもにあまりに寄りかかられると、ひどく重く感じ、反対に反抗されると、いらだったりします。親業とはたいへんな仕事だと思います。けれども、子どもに依存されることは、本当に親にとっては喜びだと思うのです。反抗だって、喜びにならなくてはいけないと思います。保育士さんや先生方によく言うのですが、子どもたちから思いきり依存される保育者になってください、そして思いきり反抗を受けとめられる先生になってほしいと。子どもは親を信じているから反抗しているのだと、認識していればいいのです。いわゆる反抗期は、三歳前後、就学前後、それに思春期にありますが、この時期は同時に、子どもが急速に成長や発達をするときです。成長するときは、たえず反抗していると思って間違いありません。子どもの成熟や発達は、依存と反抗をくり返しながら、らせん階段をのぼるようにして進展していくものです。三歳頃、七歳頃、十三歳頃と、そんなに間隔を開けずに、反抗期がやってくるのが良いようです。そして、子どもが健全に成長するためには、反抗期はあまり押さえこまないでいてあげるのがいいと思います。反抗期というのは、幼い子どもにとっては、相手に安心できるから反抗できるということなのです。幼い子どもは、相手にたいして安心感がなければ、反抗などできないものです。ですから、相手を信じて、安心して自分の言いたいことを言ったり、やってみたいことをやっているわけです。そういう機会を奪われた状態では、自分というものが育たないということも事実なのです。子どもははじめ、親や社会の保護的な世界で生きていられるわけですから、子どもたちは、なんとか問題もなくやってこられます。ところが、保護的な世界を脱して、仲間との本格的な社会的生活がはじまろうとする頃に、「自分」のない子どもは仲間のなかに入っていけないのです。そして萎縮し、とうぜん、逃避したり引きこもったりします。人によっては不登校になりますし、家庭内暴力にもなります。そうでなくても様々な意味での、情緒障害的な反応を示してきます。友達のなかに安心して飛び出して行けないのは、まだ、親や安心できる家族を必要としているからなのです。そういうときは、親が守ってあげればいいのです。親的なものに満ち足りていなければ、基本的には、社会的集団の中には飛び出して行けないのです。巣立ちの時が来るまでは、安心して巣の中で育ててもらえば良いのです。親から得るべきものを十分に得て、それと比例して仲間の方へ、だんだん傾斜していくわけです。ですから、まだこの子は不十分だと思ったら、どうぞ親が保護してあげてください。精神的なやすらぎの充電のようなものが、気持ちのなかにしっかりと確認できませんと、子どもたちは巣立っていけないのですね。そしてそれが切れたらまた戻ってきて、安心して充電できるような家庭が必要なのですね。家庭というものは、そういうものなのでしょう。そういう雰囲気や機能を生み出すのが親の役割でしょう。人生が長くて五十年といわれた昭和の頃の感覚のままで、平均寿命が八十歳くらいになった、今の時代の子どもたちを育ててはいけないのです、そう思います。